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【基本の薬膳3】東洋医学を基にした「薬膳」で、「体バランス」を整える

折り畳み傘が必需品のこの時季、雨の日が好きな人もいれば、苦手な人もいると思います。日頃から、天候により体調が左右されると感じる人は、西洋医学とは異なる体へのアプローチを学んでみませんか。薬膳は、東洋医学の考えを基に、体バランスを整えて健康を目指す料理です。特別な食材を使ったり、難しい技術を必要とする料理ではないので、誰でも身近に取り入れることができますよ。

 

「特定の症状」に着目する西洋医学の治療

普段とは明らかに異なった身体症状に陥ったり、事故で負傷すれば、誰でも救急車を呼びますね。病院では、特定の病気やケガに対し、必要があれば手術をしたり、菌やウイルスを除去します。日常の診療では病名が付けられ、薬剤を投与されたりします。これらの処置は化学療法と呼ばれ、江戸時代には和蘭医学と呼ばれた西洋医学の分野です。患部への迅速な処置は、西洋医学の強みですね。

 

人間の「体全体」を診る東洋医学

東洋医学は、特定の症状以外に、その人の体全体の状態を診ます。舌はどうなっているか、身体は冷たいか、汗をかきやすいか、性格の傾向なども診ていきます。さらに東洋医学では、辛い症状が治ったあとも、健康を維持することに重点を置きます。人間も自然界のひとつと考えるので、バランスの崩れを自然界の食べ物や生薬(しょうやく)で整え、免疫力を上げることで、病気にならない体を目指すのです。今では、大学病院でも東洋医学科や東洋医学診療科が置かれたり、患者さんに漢方薬を処方する流れも出ていますね。

 

ちょっと「どんより」も薬膳で解消

前述のとおり薬膳は、東洋医学の考え方を基に、体バランスを整えることで健康を目指す料理です。薬膳は、体調と季節との兼ね合いも診るので、例えば、「どんより」しがちな梅雨に、気分がすっきりしないという「心のプチ疲労」には、香りも芳醇で気の巡りを循環させるジャスミン茶(茉莉花茶・まつりかちゃ)をおすすめします。また肉料理にローズマリーを添えるなど、爽やかさを取り入れて梅雨を乗り切りましょう。

 

アジア各地で親しまれる、東洋医学や薬膳の考え

【基本の薬膳1】でもご紹介しているように、東洋医学や薬膳は、お隣の中国で発祥し、古代日本に伝えられてからも長い歴史を誇ります。古代にアジア全域へ伝播して各地で発展したので、国によって独自のスタイルが築かれ、例えば韓国では、日本で言う漢方は「韓方(はんばん)」と呼ばれ、日常生活で親しまれています。日本では珍しい当帰(とうき)、茯苓(ぶくりょう)、貝母(ばいも)といった生薬も、中国のマーケットでは普通に売られています。今では、日本でも生薬(しょうやく)が手に入りやすくなったので、生薬を使った調理も身近になりつつありますね。

 

西洋医学と東洋医学は、状況に応じて自分に合った方法を

どんな天候でも左右されない体調をもち、環境の変化に果敢に立ち向かえる人もいますが、ちょっとした日々の変化に揺さぶられてしまう人もいると思います。特に女性は、もともと繊細な性質を持ち、感受性に優れるため、冷えや生理痛といった変化でも体調を崩しやすい傾向にあります。西洋医学と東洋医学は、どちらかが良いという考えはないので、自分に合った方法を取り入れることが大切です。

 

 

A's Pumpkin(薬膳マイスター)

日々健やかに過ごしたいと考える、おばちゃまライターです。
薬膳マイスター資格を取得、自然由来食材のエネルギーをよりよく活かすことで、ひとりでも多くの方が健やかに過ごせるお手伝いが出来ればと思っております。国際薬膳食育師3級。