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【ダウン症児と私4】NICUで面会の日々、そして生後8日目ダウン症の告知

保育器の中のユキトくんと再会したナナさん。今回は、だんだん自発呼吸ができるようになったユキトくんとの1日1回の面会の様子と、生後8日目に先生から「ダウン症」と告知されたときの話をお聞きします。ダウン症は、心臓や消化器などに異常が見付かったり、中耳炎などの感染症を起こしやすいことから、生後すぐに退院することが難しいのです。

 

Q.ユキトくんはNICUでどんな様子でしたか?

ユキトは、だんだんと少量のミルクが飲めるようになり、点滴が外されました。さらに、NICUへ初めて行った日に看護師さんから説明されたとおり、自発呼吸が落ち着いてきたため、酸素濃度も次第に減り、最終的には酸素吸入を止めることができました。それまで密閉されていた保育器は、そのフタを外れてそのまま新生児のベッドになり、生後4日目、やっと我が子を抱っこできたのです。そして、私へのおっぱい指導が始まりました。

 

Q.NICUではどのくらいの時間、面会できるのでしょう?

面会は、1日1時間だけでした。ユキトを起こし、オムツを替えて体重を測り、おっぱいをあげて、また体重を測ります。なかなかおっぱいに吸い付いてくれず、20~30分格闘してもほとんど飲んでもらえなかったので、おっぱいの前後で体重は1gも増えない日が続きました。泣く泣くおっぱいを諦め、次はミルクを、時間内に急いで飲ませなければなりません。たった30ccのミルクをあげるのに30分近くかかり、面会時間はいつもギリギリで、毎日大変でした。ユキトはすぐに退院できなかったので、残念ながら私はユキトを置いて1人で退院しました。

 

Q.先生からはっきりと「ダウン症」と告知されたのはいつでしたか?

生後8日目に、先生からお話がありました。その日は、いつも一緒だった祖父、祖母は入室できず、ママ、パパだけでの告知でした。「ユキトくんは筋肉が弱いです。エコーで調べてみたら心臓に2つ穴が開いていました」と言われたので、私が「心臓の手術をしたら筋肉は強くなるんですね。なんだ、安心しました」と言うと、「心臓の穴と筋肉が弱いことは別問題です。このように心臓と筋肉に問題が見られるお子さんは、ダウン症の可能性が高いです」と言われました。そして「普通は2本の21番目の遺伝子が、ユキトには3本あるだろう」ということ、「発達はゆっくりだがマイペースで成長できる」、「ほかの疾患も疑われるのでひと通り検査をするので退院は1カ月以上、先になる」と説明されました。

 

Q.告知のとき、ナナさんが先生へ質問したことはありますか?

はい。私は「先生、原因は何ですか?」としつこく聞きました。とにかく、原因が知りたかったんです。正直、「え?なんで?」という思いでした。私は35歳以上で高齢妊娠、高齢出産だったにも関わらず、ダウン症の事を何も勉強していませんでした。先生は「誰にでも起こり得ることで、高齢妊娠では確率が上がること」を説明してくれましたが納得できず、何度も先生に詰め寄りました。すると先生は「細胞分裂のときに上手く分裂ができなかった」と、絵を書いて説明してくれました。原理は何となくわかったけど、それでも納得できない気持ちでした。このままでは、祖父母に自分から話すことはできないと思い、祖父母にも先生から話をしてもらうよう、お願いしたんです。

 

ダウン症の基礎知識4:米国ではダウン症のテレビ番組がテレビアカデミー賞に

米国では、20代のダウン症の若者たちが、普通に社会へ溶け込みながら、友情、恋愛、仕事などを通して成長しながら夢を実現していく様子を追ったリアリティ番組「Born This Way」が、第9回テレビアカデミー賞を授賞しました。テレビアカデミー賞は、社会に大きな影響を与えたテレビ作品に送られる賞で、放送は回を重ねるごとに視聴率が上がっていったそうです。ダウン症の若者たちが社会のなかで成長しながら普通に過ごす姿は、視聴者たちのダウン症への理解を深めました。日本でも、社会全体でダウン症への理解を深めていくことが求められています。

 

 

ナナ

5歳のダウン症の息子「ユキト」と、3歳半の弟「マサト」のママの「ナナ」と申します。ダウン症の子どもを育てている様子や、母親の気持ちなどを率直にお話ししたいと思います。