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【基本の薬膳4】薬膳で「気」「血」「水」のバランスを保って健康に

薬膳では、東洋医学で言う「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」のバランスが崩れると、元気がなくなる、体調不良が起こると考えます。「気」「血」「水」の特徴を知って、日々の健康に役立ててみませんか。薬膳は、東洋医学の考えを基に、体バランスを整えて健康を目指す料理なので、まずは自分の体を知るための概念を学びます。体がだるい、痛みを感じるなどの状態は、「気」「血」「水」のバランスが崩れ、体に毒を溜めていることになるため、薬膳(たべもの)で調整し、バランスの取れた「中庸」の状態へ体を戻します。

 

体の原動力、エネルギーになる「気」

「気」は、直接目には見えないので掴みどころがないように思えますが、元「気」が出る、「気」疲れした、勇「気」を出すなどの使い方で、日常会話に登場していますね。「気」とは、体内を循環するエネルギーを指し、循環しながら代謝を助けたり、病原菌から体を守り、人体を成長させる働きがあります。人が生まれながらにもつ「気」もありますが、気は食べ物から補ってエネルギーを生成できるので、「気」が不足したり、停滞したときに食生活で体を元の状態に戻すことができるのです。

 

栄養や酸素を体内に循環させる「血」

東洋医学の「血」は、血液の意味以外に、全身に栄養を届ける役割をするものと考えます。潤いを運ぶのも「血」と考えるので、皮膚が乾燥しているときは、「血」が足りていないかもしれません。また、エネルギー源の「気」が不足すると、「血」や「水」に影響を与えます。「血」を体の隅々まで届けるためには、エネルギーである「気」が必要です。このように、「血」は単体で成立するものではなく、気血水が相互に関係し合っています。「血」が停滞した場合は、食べ物で血液の源を補う以外に、軽い運動やウォーキングで体を動かし、血流を良くして体の細部に栄養を届けることも大切です。

 

血液以外の水分、体を潤す「水」

「水」は食べ物や飲料から吸収された、体内の水分という意味で、水道の水とは異なります。体液は大きく分けて、血管の中を通る「血」と、血管の外でも機能する「水」とに分類されます。「水」の役割は、唾液などの素となるほか、汗として体外に出れば体温調整もします。「水」は、粘膜や皮膚を乾燥から守りますが、「血」と異なり、血管外で老廃物と結びつくことがあるので、むくみやだるさを引き起こすきっかけになります。また、別名「津液(しんえき)」と呼ばれ、「水」が不足した状態を「津液虚(しんえききょ)」と呼びます。

 

「気」「血」「水」の不足やバランス崩れで起こる不調

東洋医学の考えでは、エネルギーとしての「気」を中心に、「血」と「水」が合わさって、健康を維持するとされます。「気」が不足すれば、それに伴い「血」と「水」バランスが崩れるほか、「血」自体が不足しても栄養が不足した状態になり、血行も悪くなります。「水」は、代謝が悪くなって余るとむくみや胃のむかつきを引き起こし、不足するとほてりやのどの渇き、寝汗症状が出ます。「水」が足りないのに寝汗をかくのは、体に必要な水分が摂れていないためで、冷えた飲料でなく白湯を飲むなど、冷えから遠ざかることが大切になります。

 

たべもので不足を補う薬膳

「気」「血」「水」は、それぞれが相互作用し合い、バランスが保たれる状態が「健康体」であると考えられています。日々、栄養バランスの良い食事で、ストレスなく過ごせれば良いですが、なかなかそうもいきません。病気に至る前の不調であれば、食べ物で不足を補い、体バランスを元の状態に戻したり、元気を出せるのが薬膳の力です。「気」「血」「水」のバランスが崩れたとき、どのような症状が起こるかについては、今後この【基本の薬膳】で順番に連載していきます。薬膳の概念を日々の体調管理に役立てながら、過ごしやすい体づくりをしてみませんか。

 

 

A's Pumpkin(薬膳マイスター)

日々健やかに過ごしたいと考える、おばちゃまライターです。
薬膳マイスター資格を取得、自然由来食材のエネルギーをよりよく活かすことで、ひとりでも多くの方が健やかに過ごせるお手伝いが出来ればと思っております。国際薬膳食育師3級。