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【不調の薬膳11】冷たい飲食で「弱った胃腸」を元気にする4提案

夏の不調の多くは、室内外の温度差で体バランスが崩れたり、冷たい飲食の摂り過ぎで胃腸が弱り、体がうまく機能しないことが原因です。今回は栄養を吸収する胃腸の働きを改善、体を元気にする方法をご紹介します。体が冷えているときや、体に熱が溜まって抜けないときに使える食材や食べ方も提案していきますね。「水毒」の解消もしていきますよ!

 

夏は環境を整えて「冷え」を防ぎ、バランスを整えよう!

薬膳では、体が冷えて寒がりな傾向の「寒」体質か、いつも喉が渇いて暑がりな「熱」体質かを重視します。「寒熱」の判断は自分の体感で大丈夫なので、例えば体温計を使ったりする必要はないのです。夏季は室内外の温度差が大きい場合が多く、出入りを繰り返したりエアコンの冷気にさらされ続けると自律神経が失調し、「寒熱」のバランスが崩れます。ですので冷えを感じる場合は、エアコンの温度設定に注意したり、状況が許せばスカートでなくパンツスタイル+靴下で過ごしましょう。自分の膝を触って「冷たい」と感じるようであれば、体はかなり冷え始めています。「血」を巡らせるためにも、ときどきお風呂で湯船に浸かったり、ストレッチで体を動かしてみてくださいね。なお「寒熱」の詳細については、追ってご紹介していきますよ!

 

胃腸の弱りに「お粥」を!「ダイコン」なら熱を冷ます効果も

ごはんは「平性」食材なので、どんな体質にも合わせやすく、「ダイコン」とともに胃腸に働きかけエネルギーを補給します。お粥にすると吸収が穏やかになり、梅干し(木の「酸」味)で味を付ければ「クエン酸」で疲労が取れて食欲が戻ります。さらに殺菌作用もあるので、お腹が緩いときもお試しください。タンパク質を足すなら、タラや鶏肉を。鶏肉は余熱で火が通るので、3分ほど茹でたあと火を止めて約10分放置すると柔らかく仕上がります。「ダイコン」は粘膜を潤すので咳が出る風邪にも効き、熱を適度に冷ます作用があります。「大根おろし」なら声がれに、「ぬか漬け」なら便秘を解消するうえ、疲労を回復させる「ビタミンB1」も摂れます。

 

夏の冷えに「ショウガ」「ネギ類」で発汗を促す

「ショウガ」は、発汗を促して体を温める作用で有名ですね。冷たい飲食で弱った胃腸を温めて回復させるなら「ショウガ」や「ネギ類」を加えたお粥をどうぞ。「ショウガ」は何にでもトッピングできる長所があり、おろしたり刻んだりして生で食べられますが、体を温めるためにはショウガ自体に熱が通っているといいですよ。さらに桜エビやエビと一緒に調理すれば、「アスタキサンチン」の活性酸素の除去効果や、体力を付ける「タウリン」で疲労が回復します。むくみが気になるときは、お粥に「ハト麦」(土の「脾」、金の「肺」)を加えるといいですが、食べにくいと感じる方は無理をせず「ハト麦」入りの雑穀でお粥を作ると手軽です。ショウガとの相性が良い夏野菜の「ナス」もむくみや「水毒」を改善してくれますよ。さらに味噌汁を朝食へ加えると腸が動き、体を温めながら全身に「血」を巡らせる手助けをします。

 

豆乳入りビシソワーズ、「ジャガイモ」パワーで胃腸を整える

消化器官の「脾」に働きかけて体力不足を補う、「甘」食材のなかでも、特に「ジャガイモ」は胃腸に効いて粘膜を保護するとされますが、お腹が張る場合は少な目に摂るようにします。食欲がなく体調が落ちたときは、お粥やスープなど消化に良いメニューで栄養を補給し、体力を落とさないようにするのが先決です。ジャガイモを使った「ビシソワーズ」は、ミキサーなどで擦り潰す前に「豆乳」を加えると、失った「気」を回復して「水」バランスを整えます。「コショウ」(「辛」味)の力を借りれば、体を温め「血」を巡らせます。体優先に考え、スープをあまり冷やし過ぎないで食べるのがいいでしょう。

 

夏の体にぴったり!手作りでさらに香ばしい「麦茶」

「麦茶」は麦茶用の「大麦」をフライパンで煎ってから煮出したもの。自宅で作ることも可能なため、お子さんの自由研究の1つとして、炒り方や煮出し方をおうちで実験してみても楽しい飲料です。大麦の種類は何種類かあるため、調べたり飲み比べてみるのもワクワクしますね。「ミネラル」が豊富な麦茶は、体を少し冷やして渇きを和らげる「涼性」の飲料なので、火照った体に効く夏にぴったりの飲料です。食欲不振に効くため、夏バテで弱った体を癒します。さらにノンカフェインなので小さなお子さんも安心して飲め、濃く煮出せばミルクや砂糖を加えて美味しく飲めるので「カフェインを摂りたくないけれどミルクティーを飲みたい」ときは代わりにもなります。このほかの「涼性」のお茶には「緑茶」がありますが、冷えが強い、胃が弱い方は、秋冬や空腹時に飲むのを控えましょう。とは言え、緑茶は「ハーブ」や「シソ」との相性が良く、例えば茶葉と刻んだシソ5枚にお湯を注げば、爽やかでスーっとした香りで気分がスッキリするお茶の出来上がり。いろいろなアレンジで飲み方を楽しめるので、お茶好きな方は、ぜひ楽しんでみてくださいね!

 

【プチポイント】

熱中症対策で「水分」のほか、「ミネラル」「ビタミンC」や「塩分」を摂ろうと心掛けている方も少なくないと思います。ですが、「塩分」に関しては摂り過ぎると高血圧を引き起こすので注意が必要。現代の私たちは、もともと塩分超過の傾向にあります。例えば、高血圧予防を視野に入れた1日分の塩分量は男性で8g、女性では7gが目安ですが、ラーメン1杯で6g摂れてしまうのです。そう考えると、激しい運動や屋外での作業もなく、それほど汗をかいていないのに「塩分」に摂取を心掛けるのはちょっと危険ですので、頭の片隅に入れておいてくださいね!

 

まとめ

日本の夏は、湿度も高めですよね。東洋医学には「湿邪(しつじゃ)」という体に悪く病気のもとになると考えられる湿気の概念があるので、体に「湿」が居座らないよう「湿」を排除し、むくみや毒素(水毒)を溜めないことが大切です。湿度が高すぎると体の代謝がうまくいかなくなるため、温度だけでなく湿度にも気を付けると体が楽になります。そして、夏休みにご親戚やお友達と集まる機会の多い方もいると思いますので、大勢で食べられる旬の「スイカ」について少しだけ。スイカは「水」をうまく補いながら、一方で利尿作用によって余分な水分や「ナトリウム」を排泄して体バランスを調整、熱中症に適した果物でもあります。トマトの栄養素と似て「リコピン」や「ビタミンC」を含むので、お肌の調子が気になる方にもおすすめ。冷えが強い方は、冷蔵庫に入れないで食べたり、日の高いうちに食べて夜までに消化、発散させます。ぜひみなさん、楽しんで食べてみてくださいね!

 

 

A's Pumpkin(薬膳マイスター)

日々健やかに過ごしたいと考える、おばちゃまライターです。
薬膳マイスター資格を取得、自然由来食材のエネルギーをよりよく活かすことで、ひとりでも多くの方が健やかに過ごせるお手伝いが出来ればと思っております。国際薬膳食育師3級。