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【和菓子歳時記5】なめらかでモチモチ「白玉だんご(しらたまだんご)」

夏のスイーツといえば、アイスクリームやシャーベットなどが人気ですね。今回は、冷たい和菓子スイーツとして人気の「白玉だんご」をご紹介します。小豆やフルーツなどをトッピングして気軽に楽しめる「白玉だんご」は、材料も手に入りやすく、作りたての美味しさが格別。ぜひ手作りにも挑戦していただききたい和菓子の1つです。

白玉だんごの原材料の「白玉粉(しらたまこ)」ってどんな粉?

白玉だんごの材料に使われる白玉粉は、糯米(もちごめ)を製粉して作られたもち粉の1種です。水に漬けたもち米へ水を加えながら挽き、その乳液を圧搾脱水後、乾燥して作ります。この乾燥工程は、昔は寒い時期に行なわれた「寒ざらし」という特別な製法なので、別名「寒ざらし粉」とも呼ばれます。大福などの餅菓子の材料として使われるもち粉より粉の粒子が小さく、これを使用した白玉だんごはなめらかな食感に仕上がります。手のかかる高級な粉ではありますが、江戸時代には冷たい水を荷台に担いで売る「冷や水売り」が白玉を入れた冷や水を売っていたという記録があり、江戸の町民には身近な夏のお菓子だったことが伺えます。

 ◇「白玉粉・上新粉・もち粉」の違い、言えますか?違いを知れば代用も!

 

和菓子店の白玉だんごは、白玉粉だけが材料じゃない!?

本来「白玉だんご」は、水で練った白玉粉を茹でたお菓子のことですが、温度や湿度で風味や食感が変わりやすいため、和菓子店では蒸したあとに、ついてコシを出したり、求肥やうるち米の粉を蒸して作ったりと、お店によって柔らかさを保ついろいろな工夫をしています。また「白玉」とは「白色の美しい玉」という意味があり、真珠や可愛らしい子どもの手などを表現するときにも使われている言葉。そのため、和菓子業界では、製法や材料にかかわらず白い小さなお団子のことを広く「白玉」と呼んでいます。

白玉だんごの作り方とコツ

白玉だんごは、白玉粉に水を加えて耳たぶくらいの固さにこねて一口大にしたものを、沸騰した湯で茹で、浮き上がってきたら一呼吸待って引き上げます。茹で上がった白玉だんごは、氷を浮かべた冷水で粗熱を取り、何度か水を取り換えて自然に冷やします。茹でる際に中心まで熱を通りやすくするために、球形にしてから真ん中を凹ませた形に形成することが多いのですが、地域によっては繭玉形やちぎったままのところもあるようです。小さめで中心まで火が入りやすい形に形成すると茹でムラが防げ、形よく仕上がります。水の代わりに色つきのジュースで練るとカラフルな白玉だんごも出来上がりますよ。 

美味しく食べるコツは「冷やしすぎないこと」

白玉だんごは冷やしすぎると固くなり、滑らかさが失われてしまいます。美味しく食べるコツは、茹でたてを冷やしすぎずに食べること。ぜひ一度、茹で上がりを冷水にさらしたものに、冷たい小豆やフルーツを添えて食べてみてください。モチモチでなめらかな食感を味わえます。冷たい食品がたくさんある現在では、物足りなさを感じるかもしれませんが、ぜひ手作りならではの茹でたての食感を味わってみてください。

 

まとめ

ネット上には、小豆を添えるほかにも、白玉粉を豆乳で練るアレンジや、メロンや缶詰めのフルーツを使った洋風の盛り付けなども見付かります。子どもと一緒に試してみるのも楽しそうですね。夏休みも後半になりますが、楽しい夏の思い出がたくさんできるといいですね。

 

 

石原マサミ(和菓子職人)

創業昭和13年の和菓子屋・横浜磯子風月堂のムスメで、和菓子職人です。季節のお菓子や、和菓子にまつわる、歳時記などのご紹介を致します。楽しく、美味しい和菓子の魅力をお伝えできたら、嬉しいです。石原モナカの名前で、和菓子教室も開催中。ブログはこちら