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【これからは予防の時代17】乳ガンリスク要因のまとめ

これまで乳ガンのリスク要因について、「月経」「家族歴」「生活習慣」「体型」について、お話してきました。今回は、リスク要因となる既往症などをみながら、対策についてまとめます。

 

糖尿病

糖尿病の有無と、乳ガン発症リスクの関係を調べたメタアナリシスでは、2007年の調査では20%、2012年の調査では27%、糖尿病があるほうがリスクが増加していました。

 

医療被曝

小児ガンのために、放射線治療を受けていた人は、乳ガンのリスクが顕著に増加します。X線検査や胸部の放射線療などの、度重なる医療被曝は、やはりリスクを増加させてしまいます。特に若年期の被爆でリスクが増加します。

 

ですが、小児ガンなどの重篤な疾患では、診断や治療によって得られる恩恵もあることを考えれば、被爆のデメリットよりも大きなメリットがあるとも言えます。

 

小児期に、胸部へ頻繁に放射線照射を受けた女性は、運動などの方法で、できる限りの予防をし、適切な時期に検診を行なうことで、乳ガンの早期発見を図って行きましょう。

 

その他

ここまで書いてきた事柄のほかに、乳ガンと関係があるものは以下の通りです。

  • 夜間勤務:乳ガン発症リスクを増加させる可能性があります
  • 大豆イソフラボン摂取:乳ガン発症リスクを減少させる可能性があります
  • ホルモン剤の使用:乳ガン発症リスクを増加させる可能性がありますが、今後も研究が必要な分野です(ここで言うホルモン剤は、経口避妊薬や低用量エストロゲン、プロゲスチン配合薬など)

 

まとめ

ここまでにお話してきた、乳ガン発症リスクのうち、遺伝性乳ガン卵巣ガン症候群以外の標準的なリスクがある方は、自分に当てはまるリスク要因が何なのかを知っておきましょう。乳ガンの発生は、遺伝をベースにいろいろな条件が絡み合うので、複数のリスク要因を多面的に考えるようにしましょう。

 

そして、日常生活での節酒・禁酒、禁煙減量、運動などを実践しながら、定期的にマンモグラフィーや超音波による検診を受けて、乳ガンの早期発見に努めるようにしてください。遺伝傾向が比較的強くても、環境に注意することで発症を遅らせたり、防ぐことは十分できるのです。

  

 

高島裕一郎(医学博士)

予防医学を専門としている医師です。医療の高度化でさまざまな病気の原因がわかるようになりました。これは同時に、いろいろな病気を予防することができるようになってきたことを意味します。生活習慣病やガンなど、生活のなかで予防のできる病気と、その予防方法について、お伝えしていこうと思います。日本医師会認定産業医、日本人間ドック学会認定医。