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【これからは予防の時代21】乳ガンの超音波検診のメリットとデメリット

マンモグラフィ以前に、乳ガン検査の主流だった「超音波検査」ですが、対象者の体質によっては、マンモグラフィ検診よりも効果が高い場合があります。今回は、乳ガン超音波検査のメリットとデメリットをお話します。マンモグラフィを受けてみて、過剰診断や検査があった場合は、超音波検査に切り替える方がよいこともあるのです。

 

住民検診での超音波による乳がん検診は非推奨

現在、超音波検査は有効性の証拠が不十分で、住民検診のような対策型検診の方法として、推奨されていません。しかしマンモグラフィが比較的不得意とする、若年者や高濃度乳房に対しての補助的な検査手段として有用であることは確実です。

 

乳腺が濃いとマンモグラフィでは乳ガンを発見しにくい

以前の記事でもお話しましたが、マンモグラフィでは、乳腺としこりが白く写ります。しかし乳腺濃度には個人差があり、日本人は比較的濃いとされています。また同じ人であれば、若いときの方が濃いことが多いです。そのため若年者全般や高濃度乳腺では、マンモグラフィでは乳ガンを発見しにくいのです。

 

高濃度乳腺でこそ、超音波の活用が期待

ですので、人間ドックなどの任意型検診での活用が期待されていますが、超音波検査で乳ガンが疑われた場合は、再度精密検査をしなければなりません。超音波検査そのものに加えて精密検査をするわけですから、費用などの不利益が発生するため、受診者への事前の説明が必要だと言えるでしょう。

 

乳ガンでの超音波検査の感度

ちなみに、乳ガンでの超音波検査の感度は75.3%という報告があり、これは100個のガン細胞があった場合に、75.3個を発見でき、24.7個を見逃してしまうということです。

 

高島裕一郎(医学博士)

予防医学を専門としている医師です。医療の高度化でさまざまな病気の原因がわかるようになりました。これは同時に、いろいろな病気を予防することができるようになってきたことを意味します。生活習慣病やガンなど、生活のなかで予防のできる病気と、その予防方法について、お伝えしていこうと思います。日本医師会認定産業医、日本人間ドック学会認定医。