フランスほのぼの暮らし

フランスママに学ぶ「子どもがいても結婚しないパパとママ」の暮らし

「事実婚の国」とも言われるフランスでは、子どもがいても結婚をしないで2人で仲良く円満に子育てをしているパパとママが多くいます。今回は、そんなフランスの多様な家族の形をご紹介します。在日フランス大使館の2012年の資料によれは、5組に1組が事実婚だそう。そんなフランスの、日本と異なる家族観、結婚観をお伝えします。

人生のパ-トナ-は自分で選んで決める、親は口出ししない

日本では、結婚せずに子どもを育てるカップルはまれですが、フランス人は結婚しなくても子どもを生み、家も買います。また結婚する場合も、結婚を「家と家のつながり」と考えることはなく、「人生のパートナーは自分で選んで決めるもの」という考え方が主流です。この考え方は世代には関係ないので、親が子どもの選んだ相手に口を出すことはありません。

 

結婚同等の社会保障を受けられる「PACS」が増えている

フランスには「民事連帯契約」、通称PACS(パックス)と呼ばれる、結婚をしていないカップル向けの制度があります。1999年に導入された制度で、結婚していない事実婚でも、結婚している夫婦と同じように、税金の控除や社会保障を受けられます。PACSは市役所に届け出る婚姻と異なり、2人で裁判所に出向き契約書を公証してもらいます。そしてこの関係は、どちらか一方の意思で解消可能。当初この制度を利用するカップルの4割が同性カップルでしたが、最近では同性カップルが1割を切り、ほとんどが異性カップルだそう。結婚と違って戸籍に入るわけではないので、夫婦別姓となるので、子どもと苗字が異なる場合もあります。

 

PACS増加の背景には、フランスの離婚手続きの煩雑さが!

PACSを異性カップルが利用する背景には、フランスでの結婚と離婚の手続きが、日本よりも面倒なことがあります。特に、離婚に関しては協議離婚の概念がないため、必ず裁判所を通す必要があります。双方が弁護士を依頼して財産分与や子どもの親権、養育権や養育費の金額を始めとする、さまざまなことを取り決め、すべて公正証書を作成しなくてはなりません。膨大な書類作成と弁護士費用に加え、離婚が認められるまでに数年かかることも。ちなみに2010年フランスの総婚姻件数が25万1,000件だったのに対し、異性カップルのPACS件数は19万5,000件だったそう。

 

◇在日フランス大使館 フランスの統計資料2012年度版3.人口2012
http://www.ambafrance-jp.org/article5731

 

両親が結婚していなくても、子どもが差別されることはない

事実婚か結婚かに関わらず、フランス人はパートナーとの精神的な繋がりと信頼関係を重視し、大切にしているように感じます。ですからお互いの信頼関係が失われた場合、人生のパ-トナ-が変わることも当然のこととして受け入れられています。そのため、親が結婚していなくても、バツイチでも、シングルママでも、そのことが原因で親や子どもが差別されることはありません。誰かの親が離婚しても、学校や幼稚園などで話題になることもなければ、特に興味ももたれません。

 

異父母兄弟姉妹が1つ屋根の下で仲良く生活

事実婚が増え、パートナーが変わることも多いフランスでは、1つの家庭の中に苗字の異なる異父母兄弟姉妹が一緒に生活していることもあります。互いの苗字や片親が違っても、普通に仲良く生活していて特に複雑な家庭というイメ-ジもないのです。その場合の子どもたちは、平日や週末、学校のバカンスといった単位で、一緒に過ごす親が母親から父親へと変わったりするので、過ごす異父母兄弟姉妹も入れ替わることがありますが、それも普通のこととして、周囲にも受け入れられています。ちなみに、子どもの親権は共同親権で、母親にも父親にも義務と責任が生じます。また事実婚であっても共同親権で子育てするのが一般的で、子ども認知率も高いです。

 

公的な書類には「家族状況」を細かく記入ことが必須

そんな多様性のある家族観をもつフランスでは、学校関係や社会保険庁などの公的な書類に「家族状況」を記載する欄があり、記入が必須となっています。法的な結婚・再婚・離婚・独身・未亡人・PACSと具体的に記入する必要があり、さらに兄弟姉妹や異父母兄弟姉妹の個人情報も必要という、日本では考えられない情報を提出しなければなりません。日本人の私からすると、なんて余計なお世話なのかと思ってしまうんですけどね。

 

 

クレモンママ

在仏20年、田舎暮らしを満喫中の小・中・高校生の4児の母。趣味はお花を育てること&散歩。人生は楽しく生きたいタイプ。