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【これからは予防の時代24】日本の「遺伝性乳ガン卵巣ガン症候群」の現状

これまでの連載で、乳ガンのメカニズムや乳ガンを予防・発見する検査方法などをお話しました。今回から、アンジェリーナ・ジョリーさんでご存知の方も多い「遺伝性乳ガン卵巣ガン症候群」についてお話していきます。「遺伝性乳ガン卵巣ガン症候群」は、HBOC(Hereditary Breast and Ovarian Cancer)とも言われ、欧米ではこの状態にある人へ、ガン発症前から乳房や卵巣の切除を行ない、ガンの発症を防いでいます。日本でも、そのようなことができるのか、見ていきましょう。

 

「遺伝性乳ガン卵巣ガン症候群」はどのくらいの割合か

乳ガンの5〜10%は遺伝性、つまり関係する遺伝子に突然変異があると考えられ、この遺伝子に変異がある状態を「遺伝性乳ガン卵巣ガン症候群」と言います。

 

「遺伝性乳ガン卵巣ガン症候群」はどのような状態か

通常ガンは、体の細胞の中にある遺伝子が突然変異を起こして発症しますが、HBOCでは決まった遺伝子に突然変異があります。この決まった遺伝子は、BRCA1遺伝子、BRCA2遺伝子と呼ばれています。

そして、遺伝的に乳ガンや卵巣/卵管ガンの発症リスクが高い人へ、医療的に早期に介入できれば、その人の生命予後が改善される可能性が当然高くなります。

 

 

 

欧米での「遺伝性乳ガン卵巣ガン症候群」の人への予防法

欧米では、乳ガンを発症したことがある人を対象に遺伝性乳ガンの検査やカウンセリングを実施しています。遺伝的要因の可能性が高いと評価された場合には、家系内の既に発症している人と、未発症でもリスクの高い人を対象に、定期検診やリスク低減手術、薬物による化学予防などを行なうことが、標準医療となりつつあるのです。

 

日本での「遺伝性乳ガン卵巣ガン症候群」の人への予防法

一方日本では、ガンの遺伝学検査やカウンセリングに公的保険が適用されず、医療関係者でもHBOCに対する認識が十分でないのが現状です。また、リスク低減手術が一般に実施されていないので、乳ガン対策の選択肢に限界もあります。つまり、今はまだガンの遺伝医療を実施している医療施設や専門家が少ないのです。

 

高島裕一郎(医学博士)

予防医学を専門としている医師です。医療の高度化でさまざまな病気の原因がわかるようになりました。これは同時に、いろいろな病気を予防することができるようになってきたことを意味します。生活習慣病やガンなど、生活のなかで予防のできる病気と、その予防方法について、お伝えしていこうと思います。日本医師会認定産業医、日本人間ドック学会認定医。