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【二十四節気1】二十四節気とは?4月下旬は、雨で穀物がよく育つ「穀雨」

「二十四節気(にじゅうしせっき)」は1年を24等分した約15日間の季節の名前で、有名なものに冬至、大寒、春分、立夏などがあります。この連載では、4月下旬「穀雨(こくう)」から順に、各季節をご紹介します。「穀雨」の後半は、ちょうど茶摘みの時期。これから旬を迎える新茶の美味しいいただき方や、お茶の豆知識もご紹介しますので、ママ友とのティータイムでトリビアとして披露しても楽しいですね。 

 

二十四節気は、日にちの名前?季節の名前?

 

 「二十四節気」では、1年を24分割した各期間に季節の名前が付いています。二十四節気ができたころの元旦は「立春」で、大晦日は大寒の最終日「節分の日」でした。各季節は約15日間ずつあり、有名なものは冬至、大寒、春分、立夏などです。「冬至って1日だけのことじゃないの?」と思うかもしれませんが、その季節の初日と、その季節の期間全体、両方で使われます。また、春分・秋分の日、冬至・夏至の日にちが毎年同じでないのと同様に、二十四節気の日にちも毎年同じではありません。そして24の季節のうち半分が、西洋占星術の星座が始まる日になっています。

 

<二十四節気とおよその日程>

立春(りっしゅん):2月4日ごろ〜2月18日ごろ
雨水(うすい):2月19日ごろ〜3月5日ごろ、魚座の開始日
啓蟄(けいちつ):3月6日ごろ〜3月22日ごろ
春分(しゅんぶん):3月20日ごろ〜4月4日ごろ、牡羊座の開始日
清明(せいめい):4月5日ごろ〜4月19日ごろ
穀雨(こくう):4月20日ごろ〜5月6日ごろ、牡牛座の開始日
立夏(りっか):5月7日ごろ〜5月20日ごろ
小満(しょうまん):5月21日ごろ〜6月5日ごろ、双子座の開始日
芒種(ぼうしゅ):6月6日ごろ〜6月20日ごろ
夏至(げし):6月21日ごろ〜7月6日ごろ、蟹座の開始日
小暑(しょうしょ):7月7日ごろ〜7月22日ごろ
大暑(たいしょ):7月23日ごろ〜8月6日ごろ、獅子座の開始日
立秋(りっしゅう):8月7日ごろ〜8月22日ごろ
処暑(しょしょ):8月23日ごろ〜9月7日ごろ、乙女座の開始日
白露(はくろ):9月8日ごろ〜9月22日ごろ
秋分(しゅうぶん):9月23日ごろ〜10月7日ごろ、天秤座の開始日
寒露(かんろ):10月8日ごろ〜10月22日ごろ
霜降(そうこう):10月23日ごろ〜11月6日ごろ、蠍座の開始日
立冬(りっとう):11月7日ごろ〜11月21日ごろ
小雪(しょうせつ):11月22日ごろ〜12月6日ごろ、射手座の開始日
大雪(たいせつ):12月7日ごろ〜12月21日ごろ
冬至(とうじ):12月22日ごろ〜1月4日ごろ、山羊座の開始日
小寒(しょうかん):1月5日ごろ〜1月19日ごろ
大寒(だいかん):1月20日ごろ〜3月3日ごろ、水瓶座の開始日

 

穀雨(こくう)ってどんな意味?

4月下旬は、桜、チューリップ、クロッカスと春の花が色とりどりに咲き乱れ、空を仰げば木々の芽吹きが目にまぶしい季節です。2017年の「穀雨」は、4月20日から5月4日まで。「穀雨」には、春の優しい雨が大地をうるおし、さまざまな穀物がぐんぐん育つという意味があります。穀雨の後半、立春から数えて88日目の夜は「八十八夜」と呼ばれ、「♪夏も近づく八十八夜~」でお馴染みの「茶摘み」が始まります。この日に摘んだお茶を飲むと長寿になるとも言われているんですよ。

 

いろんな種類のお茶も、実は同じ木からできている

日本でお茶の一大産地といえば静岡(静岡茶)ですが、ほかにも鹿児島(かごしま茶)、三重(伊勢茶)、京都(宇治茶)、埼玉(狭山)など、全国各地に「お茶どころ」があります。そしてすべてのお茶は、中国原産の「チャノキ」という常緑樹から作られます。日本茶、中国茶、紅茶は「チャ」の葉の発酵度合いの違い、「やぶきた」「ダージリン」はお茶の品種の違い、「煎茶」「抹茶」「番茶」は加工方法の違い、また産地や収穫時期によって、お茶は数えきれないほど細かく分類されるのです。私たちの暮らしに、お茶が深く根付いていることが分かりますね。

 

 

薬味やハーブとして大活躍の「食べるお茶」

お茶には飲む楽しみだけでなく、食べる楽しみもあります。パッと思いつくものでは抹茶スイーツや茶粥、茶そばなどでしょうか。お茶にはカフェイン、カテキン、ビタミンCが含まれていることはよく知られていますが、茶葉を食べると水に溶け出しにくいビタミンA・E、食物繊維などを摂取できます。緑茶をミキサーで細かくしておけば、薬味やハーブの代わりになるだけでなく、お茶の栄養を丸ごといただけますね。ふりかけおにぎり、卵焼き、チキンソテー、揚げ物の衣にドレッシングなどで、普段あおさ、ネギ、シソ、パセリ、バジルを使うところで代用すると、普段のメニューで簡単に取り入れられますよ。

 

 

 

春の「土用」、うなぎは食べませんが心と体を休めたい時期

また、穀雨には「土用」の期間があり、2017年は4月17日から5月4日の18日間です。土用と言うと、夏の丑の日にウナギを食べるイメージがありますが、本来土用は、年4回春夏秋冬にあります。土用は、古くから土木工事や農業、園芸など「土をいじる」ことを避ける習わしがあります。土の神様(土公神:どこうじん)を怒らせないようにするためと言われていますが、春から夏に気候が変わり始めるこの時期、体調を崩さないようゆっくり過ごすためという説も。現代であれば、新学期や新年度が始まり、ピンと張り続けていた心を少し緩めて、疲れのたまった体を休める時期、と考えても良さそうですね。

 

 

穀雨が過ぎれば、いよいよ夏!次は「立夏」

すでに汗ばむような暑い日がありますが、いよいよ次は夏の始まり「立夏」です。五月晴れの広い青空にたなびく鯉のぼり、気持ち良い初夏の風を感じる季節。子どもたちにとっては外遊びに絶好のシーズンでもあります。次回は、「子どもの日」にまつわる、知って“オイシイ”話をご紹介します。お楽しみに!

 

◇cha museum(市川園)
http://museum.ichikawaen.co.jp/

◇緑茶は食べると体にいい
http://www.hishidai.co.jp/funmatsu/

 

◇参考図書
「二十四節気に合わせ心と体を美しく整える(ダイヤモンド社)」
「二十四節気の暮らしを味わう 日本の伝統野菜(G.B.)」
「誰も教えてくれなかった和食育(光文社)」

 

高橋尚美

愛知県の渥美半島生まれ。東京での会社員生活から結婚出産を経て、2009年に夫の実家がある岐阜市へ。几帳面な戌年の長女、自由奔放な子年の次女、愛嬌いっぱいの辰年の三女を育てる母ライフを満喫しつつ、qufourのリサーチ記事や地元で発行している食育冊子の記事を執筆しています。