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返礼品自粛の「ふるさと納税」経験ある?納税先、金額、理由…600人の声

2008年にスタートした「ふるさと納税」は、高額な返礼品競争が問題となり自粛要請が出るほどになりました。今回は、男女600人へ「ふるさと納税の経験、寄付先、金額、理由」などを聞いた調査結果をご紹介します。高級和牛や毛ガニなどの、高額商品をもらうこともふるさと納税の楽しみの1つですが、アンケート結果からは、それだけを目当てに利用しているわけではないことが見えてきました。

 

「ふるさと納税」をしたことが「ある」、全体のわずか1割

ふるさと納税とは、「納税」という名前はついているものの、実際には、都道府県、市町村への「寄付」のこと。今は都会に住んでいるけれど、自分が生まれ育った「ふるさと」へいくらかでも寄付できないかという考えから生まれた制度です。自治体によって、ふるさと納税のお礼に地元の食品や名産品を返礼品としてもらえることもあり、注目を集めています。

 

今回、大手保険相談ショップの「保険クリニック」が、20~60歳の男女600人へ「ふるさと納税の利用の実態」についてアンケートを行ない、「ふるさと納税をしたことがあるか」を尋ねたところ、「ある」と回答した人は11%に留まりました。年代別で見ると、最も多かった50代でも13.8%となりました。

 

寄付金額で多かったのは「1万円」、平均「32,273円」

次に、ふるさと納税をしたことがあると回答した66人へ「寄付先と寄付金額」を聞いてみると、寄付金額で最も多かったのは「10,000円(25人)」で、平均金額は「32,273円」でした。寄付先は、都道府県別では「宮崎県(15人)」「北海道(7人)」「山形県(5人)」「静岡県(5人)」が多く、市町村別では次の5つに回答が集まりました。

 

【市町村別】
宮崎県都城市 12人
山形県天童市 3人
静岡県焼津市 3人
和歌山県有田市 2人
熊本県熊本市 2人

 

寄付先のなかで、出身地と寄付先の都道府県が同じだったのは11人で、出身地以外の自治体に寄付をしている人がほとんどで、55人となりました。

 

寄付の理由、ダントツは「返礼品が魅力的だったから」

また「その自治体に寄付した理由」を聞くと、44人が「返礼品が魅力的だったから」と回答。ふるさと納税をしたことのある3人に2人が、各地の名産やプレミア商品など「返礼品」を理由に挙げました。そのほか、災害復興や観光など「寄付金を役立てほしい用途があったから」が10人、「自分の出身地・地元だから」と「ゆかりある土地だったから」が6人という結果に。

 

ふるさと納税の寄付金控除、該当者の9割以上が「受けた」

ふるさと納税は、寄付すると所得税の1部が還付されたり、住民税が控除されたりする点も魅力の1つ。さらに2015年から、条件を満たせば確定申告が不要になる「ワンストップ特例制度」も始まりました。そこで「ふるさと納税の寄付金控除を受けた」かを尋ねたところ、72.7%にあたる48人が「2017年に寄付をしたので該当しない」と回答したものの、2016年より前に寄付をした18人のうち「受けていない」と回答したのはわずかに1人で、17人は確定申告またはワンストップ特例制度の手続きをしたことが分かりました。

 

ふるさと納税「続けたい」「今後したい」は経験の有無で差

続いて600人へ「ふるさと納税を続けたいですか。または今後したいと思いますか」と尋ねると、「したい(続けたい)」「どちらかというとしたい(続けたい)」が合わせて48.9%となりました。この半数近くの回答を、ふるさと納税の経験の有無で分けると、経験者が92.4%、未経験者が43.2%となり、経験者のほとんどがふるさと納税に意義やメリットを感じて続けたいと考えているようです。

 

ふるさと納税を「続けたい」「今後したい」理由

前の「ふるさと納税を続けたいですか。または今後したいと思いますか」という質問に寄せられた、具体的な理由の1部をご紹介します。

 

<経験者>

■「したい」「どちらかというとしたい」

  • 節税効果があるから
  • 返戻品が魅力的だから
  • いろいろな自治体に興味が湧くから   など

■「したくない」「どちらかというとしたくない」

  • サラリーマンでなくなり、確定申告しなければならないから
  • 自治体間競争となってしまっているから
  • 自分自身の余裕がないから

 

<未経験者>

■「したい」「どちらかというとしたい」

  • お得だと聞くから
  • 復興支援になるから
  • 地元に貢献したいから   など

■「したくない」「どちらかというとしたくない」

  • 手続きが面倒だから
  • よく分からないから
  • 返礼品目当ての納税になっていて本末転倒だから

 

ふるさとの納税に意欲的な人は、寄付の使い道への意義や返礼品への魅力を挙げる一方、慎重派は、手続きを面倒に感じたり、返礼品競争になっている現状を本末転倒と考えていたりするようです。

 

ふるさと納税の寄付金用途は約半数が「災害復興」を希望

さらに、ふるさと納税を「したい」「どちらかというとしたい」と回答した292人へ「寄付金をどの用途に使って欲しいか」を聞くと、約半数となる147人が「災害復興」と回答しました。次いで「自然保護など(89人)」「環境・景観の保護(85人)」「医療・福祉の充実(80人)」と続きました。

 

出身地のふるさと納税は6割が「実施しているか分からない」

次に、各自の出身地の自治体が「ふるさと納税を実施しているか」を尋ねてみると、26.7%が「実施している」、12.7%が「実施していない」とが回答。残り約6割は「分からない」という結果でした。出身地にふるさと納税があるかという認知度は、ふるさと納税の経験者では75.8%と高かったものの、未経験者では34.8%に留まりました。

 

3人に1人が「出身地のふるさと納税に寄付をしたい」

さらに「出身地の自治体がふるさと納税を始めたら寄付をしたいか」を聞いたところ、「したい」「どちらかというとしたい」と回答した人は合わせて34%と、全体の1/3に留まりました。回答のなかには「返礼品の魅力がない」という声も1部にあるものの、「出身地=居住地なので意味がない」「ふるさとより、今住んでいるところが潤って欲しい」といった理由や、都市部出身者からは「もともと税収があるのでは」など、自分の出身地へふるさと納税をする意義がないという声も多く挙がりました。

 

返礼品競争に惑わされない「目」を

すでに返礼品をなくした自治体も出ている一方、ポイント制を導入したのですぐには止められないといった事情を抱える自治体もあり、まだまだ混乱が続きそうな「ふるさと納税」。なかには、地元の産業に活気が戻ったので高額の返礼品を継続するという自治体もあります。加熱した返礼品競争を収めるには、私たち利用者が寄付先を選ぶ「目」をもつことも大切かもしれませんね。

 

◇約1割が利用したふるさと納税 返礼品による自治体選択は6割以上!自分の出身地への寄付意思は…?(保険クリニック)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000364.000001256.html 

 

qufour(クフール)編集部

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