暮らし

【二十四節気6】願い事とご利益を祈る、梅雨明け間近の「小暑」

1年間を24の季節に分けた「二十四節気」で「夏至(げし)」の次は、梅雨明け間近の「小暑(しょうしょ)」です。今回は、暑さが本格的になり始めるこの時期の風物詩「七夕」と「ほおずき市」を紹介します。2017年の「小暑」は、7月7日(金)から22日(土)までの16日間。「海の日」の3連休前後から子どもたちが待ちに待った夏休みも始まり、いよいよ本格的な夏の暑さを感じるシーズンです。

 

梅雨明け直前の「小暑」、暑中見舞いの準備を始める時期

「小暑」には、だんだんと夏の暑さが増してくるという意味があります。気象庁の統計でも平年の梅雨明けは九州で7月14日、関東甲信越では7月21日ごろで、まさに梅雨明け直前と言えますね。ちなみに、「梅雨入り」の発表には期限があって、それが小暑の最初の日なのだそう。この日までに「梅雨入り」の状態を確認できなければ、その年の梅雨入りは特定できなかったとされます。また、暑中見舞いを出し始める時期は、「小暑」から「大暑」の梅雨明けのころと言われています。本来は、日ごろお世話になっている方へご挨拶に伺うものでしたが、郵便の発達とともにハガキで挨拶するスタイルが定着しました。

 

七夕の願いごとと行事食「そうめん」の始まり

「小暑」の初日は7月7日になることが多く、「七夕」と重なります。七夕といえば、短冊に「願いごと」を書いて笹の葉に結ぶ習わしが今も残っていますね。この風習は、その昔7月7日に、織女星にあやかって機織や裁縫が上手になるように祈った中国の行事が始まりで、日本では江戸時代に寺子屋で子どもたちが習字の上達を願って短冊に願い事を書いていたそう。また「そうめん」を糸に見立てて、裁縫の上達を願って食べる習慣も江戸時代に広まったもの。そのほか、七夕飾りに夏野菜の初物をお供えするのも、芸事や習い事の上達を祈ったことが由来とされています。七夕の願い事は「欲しいもの」ではなく「上達したいこと」を書くものなんですね。

 

特別な「縁日」7月10日に行なわれる、浅草寺「ほおずき市」

「縁日」というとお祭りを連想しますが、元々の意味を知っていますか。もとは、各寺社のご本尊と人間とのご縁のある日を指し、その日の寺社は参拝客で賑わうことから屋台がたくさん出るようになり、お祭りのようになったのです。なかでも観音菩薩の縁日は毎月18日だったのですが、室町時代から、100日、1,000日分の御利益を受けられる「功徳日(くどくび)」が別に設けられるようになりました。特に7月10日は、参拝すると約126年にあたる46,000日分のご利益があると言われています。

 

7月10日に行なわれる観音菩薩の縁日で有名なものが、東京・浅草寺の「ほおずき市」。江戸時代には前日から参拝者で賑わうようになったため、縁日も9~10日の2日間となったそう。旧暦の7月はちょうどお盆の季節でもあり、ほおずき市で買ったほおずきは、盆提灯に見立てて盆棚飾りで使う家も多かったと言われています。

 

◇浅草寺(四万六千日・ほおずき市)
http://www.senso-ji.jp/annual_event/13.html

 

「小暑」の次は、夏真っ盛りの「大暑」

「小暑」を過ぎると、次の節気は1年で最も暑い季節「大暑」です。子どもたちは夏休みに入り、海や山へレジャーに出掛ける家族も多い時期。また、「大暑」に入る数日前から夏の土用に入り、このころは連日の猛暑や熱帯夜で体に疲れが溜まり夏バテをしやすくなります。次回は、「大暑」の過ごし方や、夏の土用、「土用の丑の日」にまつわるお話をご紹介します。お楽しみに!

 

 

高橋尚美

愛知県の渥美半島生まれ。東京での会社員生活から結婚出産を経て、2009年に夫の実家がある岐阜市へ。几帳面な戌年の長女、自由奔放な子年の次女、愛嬌いっぱいの辰年の三女を育てる母ライフを満喫しつつ、qufourのリサーチ記事や地元で発行している食育冊子の記事を執筆しています。