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【二十四節気7】「暑中見舞い」、1年で最も暑さ厳しい「大暑」のうちに

1年間を24の季節に分けた「二十四節気」で、「小暑(しょうしょ)」の次は、1年で最も暑い時季「大暑(たいしょ)」です。今回は、「大暑」の過ごし方やこの時期に重なる雑節「土用」を紹介します。夏休みが始まり、子どもたちは開放感でいっぱいの時季ですが、気温が一気に上がるため、体調を崩しやすくなります。規則正しい生活を心掛けるのはもちろんですが、昔から伝わってきた日本の夏の過ごし方を毎日の生活へ取り入れて、厳しい暑さを乗り切りましょう。

 

「暑中見舞い」は、最も暑い「大暑(たいしょ)」のうちに

「大暑」は「大きな暑さ」と書く通り、1年を通して最も暑い時季で、2018年は7月23日から8月6日までの15日間です。じめじめと続いた梅雨は西日本から次第に明け、大きな「入道雲」が水平線近くでモクモクと広がる日々が続きますね。1つ前の節気「小暑」と、夏真っ盛りの「大暑」とを合わせた期間を「暑中」と呼び、酷暑での相手の健康を気遣う「暑中見舞い」のご挨拶は、この時季に行ないます。いまどきの暑中見舞いは、ハガキやメールで送ることが多いですが、かつてはお世話になった人や親しい人を直接訪問していました。大暑の次の節気「立秋」前に済ませられなかったご挨拶は、「残暑見舞い」となります。

 

夏の風物詩には、厳しい暑さを乗り切る工夫がいっぱい

夏の風物詩と言えば、何を思い浮かべるでしょうか?スイカ、かき氷、うちわ、蚊取り線香、すだれ、風鈴、打ち水、花火、浴衣……長い間、日本の夏を彩ってきたこれらの風物詩のなかには、夏の厳しい暑さを乗り切るためのアイテムがいっぱいです。エアコンの効いた部屋でスイカやかき氷を食べるのも良いですが、庭先やベランダに打ち水したり、リビングの窓に「簾(すだれ)」や「葦簀(よしず)」を取り付けても、日差しを防いで風が通るので涼しさを感じられます。特に軒下などに立てかける「葦簀(よしず)」は、水分をよく吸収するのでジョーロやホースで水を掛けておくと、葦簀から水分が蒸発するときの気化熱で外気よりも涼しい風が入ってきますよ。

 

年4回の土用と、年12回の丑の日が重なる「土用の丑の日」

「大暑」の直前から「立秋」までの期間は、雑節の「土用」に当たります。現代では土用と言えば夏の土用ですが、本来、土用は年に4回あり、四季が始まる日とされる「立春」「立夏」「立秋」「立冬」の前の約18日間で、2018年は7月20日~8月6日までです。古くは、土用に土を動かしてはいけないとされ、家の基礎工事や農作業は避けていたほか、夏の土用には「土用干し(どようぼし)」と言って、衣類や書物に風を通したり、梅雨時に漬けた梅を天日干しするといった風習があります。梅雨から夏に入る前に自然の移り変わりを上手に生かして身の回りを整えていたんですね。

 

「土用の丑の日」はやっぱりウナギ、東西で違う食べ方

また、土用の約18日間にある「丑の日」は、特に「土用の丑の日」と呼ばれます。2018年は7月20日と8月1日の2回で、順番に「一の丑」「二の丑」と呼ばれています。「土用の丑の日」には暑さに負けないようウナギの蒲焼きを食べるのが定番ですが、調理法は関東と関西で違うようです。例えば、ウナギの開き方には諸説ありますが、武士が多くいた関東では「切腹」を嫌って背開きにし、商人が多い関西では「腹を割って話す」ことから腹開きが好まれたという説も。また、焼き方も違いがあり、関西では焼いてウナギを柔らかくするのに対し、関東では気が短い江戸っ子に素早く提供するため、白焼きにしたウナギを蒸して用意しておき、お客さんが来たらタレを付けて焼いたのだとか。この関西風と関東風の分かれ目は、ウナギで有名な浜松の辺りとも言われています。

 

「大暑」の次は、暑さがピークのなか迎える「立秋」

「大暑」が終わる8月6日は、夏の盛りでうだるような暑い日が続くころですが、次の節気は「立秋」。もう秋がやってきます。立秋の期間には旧盆があり、お盆休みを取って家族で実家へ帰省したり、お墓参りをする人も多いのではないでしょうか。次回は、「立秋」や「お盆」にまつわる習わしや、2016年に施行された「山の日」のトリビアをご紹介します。お楽しみに!

 

 

高橋尚美

愛知県の渥美半島生まれ。東京での会社員生活から結婚出産を経て、2009年に夫の実家がある岐阜市へ。几帳面な戌年の長女、自由奔放な子年の次女、愛嬌いっぱいの辰年の三女を育てる母ライフを満喫しつつ、qufourのリサーチ記事や地元で発行している食育冊子の記事を執筆しています。