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【お花のある暮らし5】ススキと一緒に楽しむ、お月見のフラワーアレンジ

お月見に「ススキだけじゃ物足りない」と思ったら、秋の草花とアレンジしてみませんか。今回は、おすすめの「ススキに合う秋の草花」と生け方のポイントをご紹介します。また、花をきれいに長く楽しむコツや、ご自身で好きな花を選ぶときのヒントもお伝えしていきますよ。

 

お月見には「ススキ」

まず、お月見に欠かせない「ススキ」から。お月見は元来、秋の収穫を感謝し、翌年の豊穣を祈念するための風習です。ススキは、お月見のころは収穫できない稲穂に似ているほか、魔除けになると考えられ、飾られるようになったそうです。自然に生えているのをあちこちで見掛けますが、間違って他人の敷地や危険な場所へ踏み入らないように気を付けましょう。近所にススキが生えていない場合は、お花屋さんで入手できます。茎や葉は意外と固いので、手を切らないように注意してくださいね。

 

メインの花に、「秋明菊(シュウメイギク)」

「秋明菊(シュウメイギク)」のような少し大き目の花を、アレンジのメインに使うと、雰囲気が華やかになります。蕾がたくさんあるので、ボリューム感も出ますね。花の大きさが、秋明菊と同じくらいの「コスモス」も、おすすめです。

 

空間を埋める花に、「ワレモコウ」

「ワレモコウ」は、チラチラと空間を埋めてくれる脇役の花です。一見、実に見えますが、小さな花の集合体です。赤茶色は秋のカラーそのものなので、季節感がグッと増しますよ。

 

縦のラインを際立たせる「リンドウ」

リンドウは、縦長の茎に複数の花を咲かせるので、高さを出したいときに最適です。ただし、切り花の蕾を咲かせることは難しいので、花を見たいなら、すでに咲いているものを用意しましょう。また、リンドウは自らの蜜で花びらを傷めてしまう性質があります。生ける前に、逆さまにして優しく振ると蜜を取り除けますよ。

 

香りが素敵な「フジバカマ」

紫のような、ピンクのようなフジバカマ。日本の伝統色に「藤袴色」があるように、古くから愛されてきた花です。秋の七草のひとつでもあります。上品な香りが漂うので、香りを楽しみながらのお月見という風流な演出もできますね。

 

生け方のポイント

お月見だからと言って、お花の生け方に特に決まりはありません。生けやすい手順は、最初にカサのある花たち、次に、縦長の草花たちです。この順番で生けると、カサのある花が縦長の草花の茎を支えてくれるので、全体が安定します。今回の場合は、ワレモコウ、秋明菊、フジバカマを先に生け、あとからススキやリンドウを挿し込みます。高さの比率は、「花瓶の高さ:花の丈=1:1.5~2」を目安にすると、バランス良いですね。ただしススキのような細長いものは、少し高めにして目立たせても映えるでしょう。同じ種類の花は、長さを数センチずつ変えて切り、段差を付けるとふんわりと仕上がります。

 

花を長く持たせるコツ

花を長持ちさせるためには、水に浸かっている茎に付いた、花や葉を取り除いておきましょう。花瓶よりも上の部分も、余計な葉を多少取り除いて、花まで水が行き渡るようにしましょう。また花に霧吹きをして、乾燥を防ぐといいですね。花瓶へ水は半分以上入れ、水は毎日取り替えるようにしてください。

 

秋の草花はトーンが同じでまとまりやすい

ご紹介した以外にも、秋の草花はたくさんあります。何種類かの花をススキへ添えると良いでしょう。ポイントは楚々として、風になびくようなものを選ぶことです。秋の草花は同じトーンが多いので、色は特にこだわらなくても、綺麗にまとまります。

 

 

五十嵐道子(フラワーデザイナー)

オーダーメイド花屋「包kurumi」フラワーデザイナー。フラワー装飾技能士1級。店舗やオフィス、イベント会場に出張して現場で花を生ける「生け込み」を中心に、フラワーアレンジメントやブーケなどの製作を手掛けています。小粋で色香漂う花を好む大人向けの作品が得意です。