調理の下処理

[調理の下処理48]お菓子作りに欠かせない「メレンゲ」を上手に作るコツ

卵白を泡立てて作る「メレンゲ」は、スポンジの膨らみ方など、お菓子の仕上がりを左右しますね。今回は、きめが細かく、泡が壊れにくい「メレンゲ」を作るポイントをご紹介します。「メレンゲ」は、卵白の鮮度や温度、砂糖を入れるタイミングで、泡立ちの良さと、泡を保つ力が変わります。いろいろな条件で、その2つのバランスが崩れてしまうので、ポイントをお伝えしていきますね。

 

メレンゲ作りに油はNG

卵白はかき混ぜることで空気を取り込み、泡を作ります。作られた泡は、油に触れると壊れてしまうため、調理器具は油を落としたきれいなものを使いましょう。メレンゲのレシピに必ずと言うほど「ボウルはきれいなものを使う」と書かれているのは、そのためです。また卵白と卵黄を分けるときは、卵黄が入らないように注意します。卵黄には、脂質が含まれるため、泡立ちが悪くなるからです。

 

鮮度と温度から見た、卵白の特徴

卵白は、鮮度や温度で、泡立ちが以下のように変わります。

 

  • 新鮮な卵:卵白に粘り気があり泡立ちにくいが、泡は壊れにくい
  • 古い卵:卵白が水っぽくなり泡立ちは良いが、泡が壊れやすい
  • 冷やす:泡立ちは悪いが、泡は壊れにくい
  • 湯煎する:泡立てやすいが、温め続けると泡が壊れる

 

この中で、きめ細やかなメレンゲを作れるのは、新鮮な卵を冷たくして使うことです。ただし、泡立ちにくいので、強い力で泡立てる必要があります。また卵白と卵黄を一緒に泡立てる「共立て」の場合は、卵黄の影響で泡立ちにくくなっているので、泡立ちやすいように湯煎します。レシピによって、お菓子の仕上がりに合わせた方法が取られているのですよ。

 

壊れにくい泡を作る!砂糖を入れるタイミング

砂糖は、卵白の泡を壊れにくくしてくれますが、空気を取り込む力を抑える、つまり泡立ちにくくしてしまいます。最初から砂糖を入れると泡立ちが悪くなるため、3回に分けて加えます。

 

<卵白へ砂糖を加えるタイミング>
1回目:ある程度泡が立ち、持ち上げるとリボン状の筋ができる状態
2回目:持ち上げると角が立つが、泡のきめが粗い状態
3回目:泡立て器の筋が付くほど固く、2回目よりもきめが細かくなった状態

 

ツヤがあり、ボウルを裏返しても落ちないくらいの固さになったら完成です。ハンドミキサーを使うと、撹拌スピードが速く泡立ちやすくなるため、最初から砂糖を入れることもありますよ。

手動でメレンゲをつくるコツ

メレンゲ作りは、ハンドミキサーを使うと手軽ですが、ない場合に手で泡立てるコツをご紹介します。最初に、卵白を軽く混ぜ合わせます。そのあと、ボウルを少し傾けて、底からすくい上げるように泡立て器を動かしていきましょう。手首を固定するように力を入れると腕が痛くなるので、力を入れず手首を振るようにスナップを効かせると、腕が痛くなりにくいですよ。手動の場合、泡を壊れにくくするため、冷えた卵白を使います。卵白を冷凍しておいたり、ボールの外側を氷水で冷やしても良いでしょう。

 

泡を壊れにくくする「シロップ」と「クレームオブタータ」

砂糖を加えるほかに、卵白の泡を壊れにくくする方法を2つご紹介します。1つ目は、シロップを入れる方法です。水と砂糖を118~120℃に加熱してとろみを付け、メレンゲへ加えます。直接砂糖を加えるよりも、より壊れにくい泡となるので、ケーキのデコレーションやムースに使われます。2つ目は、「クレームオブタータ」と言われる酒石酸を加える方法です。卵白は弱アルカリ性なので、酒石酸を加えると中性に近くなり、泡が壊れにくくなるのです。マカロンやシフォンケーキ作りなどに使われます。酒石酸のほかにレモン汁などを加えるレシピもありますよ。

 

メレンゲは泡立て過ぎに注意

ベストな状態のメレンゲをさらに泡立てると、水が出てきてボソボソした状態になってしまいます。この状態でスポンジケーキを作ると、大きな気泡が表面に現れた生地になり、膨らみません。過剰な泡立てには注意しましょう。

 

 

じゅん(管理栄養士)

チョコレートと漬物が好きな管理栄養士です。現在、子育てに奮闘中。体力の衰えを感じながら、子どもと公園を走り回っています。家事の効率化とシンプルライフを目指して、日々の生活を見直し中です。