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[二十四節気18]寒の入りは「小寒」から、より厳しい寒さの始まる時季

1年間を24の季節に分けた「二十四節気」で、「冬至」の次は、冬の寒さが最も厳しい時期の前半「小寒(しょうかん)」です。今回は、新しい年を迎えたばかりの時季に行なう日本の習わしをご紹介します。

 

寒さが厳しくなる前の「小寒」は1月5日ごろ

「小寒」は、1年のうち寒さが最も厳しいとされる「寒(かん、寒中や寒の内とも)」の前半の時季を言います。小寒の初日は「寒の入り」とも表され、天気予報の番組などで「今日は寒の入り」というフレーズを耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。2018年の小寒は、1月5日から次の節気「大寒」の前日まで約2週間続きます。「寒」は、小寒と大寒の約4週間のことで、「寒中水泳」や「寒稽古」などの耐寒行事が各地で行なわれます。この時期の挨拶「寒中見舞い」は、小寒から立春前日の節分までに出すようにしましょう。

 

松の内、鏡開き、寒九の水…小寒は習わしの多い時季

正月に玄関先へ飾る門松は、毎年元旦に1年の幸せを運ぶ年神様が家に辿り着くための目印「依代(よりしろ)」とされています。また年末の「正月事始め」に門松を立ててから下げるまでを「松の内」と呼びます。門松を下げる日は、関東は1月7日、関西は小正月の1月15日や1月20日で、地域によって異なります。

 

門松と同じように「鏡餅」も年神様へのお供えで、「鏡開き」の日に下げて雑煮やぜんざいにしていただきます。関東を始め多くの地域では松の内が終わったあとの1月11日に行ないますが、松の内が1月15日の地域では1月20日、京都や近隣地域では理由は定かではありませんが1月4日に行なっているそうです。

 

また、寒の入りから9日目に汲んだ水を「寒九の水(かんくのみず)」と呼び、1年で最も澄んだ水で腐らないとされてきました。「寒の水を飲むと風邪を引かない」と言われるほか、薬を飲むのに良いともされています。

 

1/7の七草粥で無病息災を願い、正月の胃腸を労わる

1月7日に春の七草を入れたお粥「七草粥」を食べる習わしは良く知られていますね。「せり、なずな、ごぎょう、はこべ(ら)、ほとけのざ、すずな、すずしろ」の7つのうち、「すずな」はカブ、「すずしろ」はダイコンのことで、普段の食事でお馴染みの野菜です。七草粥の由来は、古代中国で7種類の野菜を入れたとろみのある汁物「七種菜羹」を食べて無病を祈る習慣からとされています。

 

また、日本でも昔から年初に雪の間から芽を出した草を摘む「若菜摘み」という風習があり、この2つが結びついて平安時代ごろから七草粥を食べるようになりました。七草粥は健康を願うとともに、贅を尽くした正月料理が続いて疲れた胃腸を休めるために食べるとも言われます。

 

◇新年の無病息災や豊作を願った「七草粥」の由来とは?
https://kaden.watch.impress.co.jp/docs/column/lifestyle/1161373.html

 

1/15の小正月は、豊作や無病息災を願う日

元日を「大正月」と言うのに対し、そこから数えて15日目は「小正月」とされています。元日の大正月は年神様をお迎えする行事ですが、小正月には、豊作を祈って柳の枝へ花に見立てた紅白の餅を付ける「餅花」を飾ったり、無病息災を願って、邪気を払うとされる赤色の食材「小豆」を一緒に炊いたお粥を食べたりします。また、女性が正月の支度からやっと一息つけるころで、別名「女正月」とも呼ばれます。

 

小寒の次は、冬の寒さが極まる「大寒」

冬の寒さがますます厳しく、冷たい空気が肌に刺さるように感じられるころ、二十四節気は小寒から次の「大寒」へ移ります。次の節気「大寒」では、正月を締めくくる「二十日正月」や立春の前日「節分」にまつわる風習や行事食についてご紹介します。お楽しみに!

 

 

高橋尚美

愛知県の渥美半島生まれ。東京での会社員生活から結婚出産を経て、2009年に夫の実家がある岐阜市へ。几帳面な戌年の長女、自由奔放な子年の次女、愛嬌いっぱいの辰年の三女を育てる母ライフを満喫しつつ、qufourのリサーチ記事や地元で発行している食育冊子の記事を執筆しています。