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[聴こうクラシック27]夏休みの列車旅にドヴォルザーク「ユーモレスク」

あやふくろう(ヴァイオリン奏者)

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子どもたちも夏休みに入り、いろいろな旅行計画を立てている方も多いのではないでしょうか。今回ご紹介する曲は、鉄道の旅のお供におすすめしたい、ドヴォルザークの「ユーモレスク」です。ドヴォルザークは、鉄道マニアだったことが知られています。この曲も、列車の姿を思い浮かべながら聞くと、今までと違った楽しみ方ができますよ。

 

少年ドヴォルザークと鉄道

アントニン・レオポルト・ドヴォルザークは、現在のチェコ共和国にあたる、オーストリア帝国のネラホゼヴェスという小さな村で1841年に生まれ、プラハで1904年に亡くなりました。音楽好きな食堂兼肉屋の長男として生まれ、毎日、食堂のお手伝いをして育ちました。食堂に来るお客は鉄道建設の労働者。鉄道が開通した日に初めて列車を見た彼は、一目で列車のとりこになり、いつか乗ってみたいと憧れを抱きます。一方で、小学生のときからヴァイオリンを習い、その音楽的才能を開花させていきます。

 

楽譜の山の中から、探し出されたのが「ユーモレスク」

今回ご紹介する「ユーモレスク」は、ドヴォルザークが53歳の夏に作曲した「8つユーモレスク」と呼ばれるピアノ曲集の第7曲目で、通常「ユーモレスク」とだけ言うと、この第7番を指します。「ユーモレスク」はロマン派音楽の形式の1つで、自由形式の小品です。ドヴォルザークが晩年、病に伏せていたときに、お見舞いに訪れた世界的ヴァイオリニストのフリッツ・クライスラーが、彼の部屋の楽譜の山からこの曲を発見。クライスラーが編曲して演奏したものが大きな人気を博し、それがもとで、ほかの楽器にもアレンジされるようになりました。

 

車輪の響きを感じるメロディ

ドヴォルザークは、50歳のときアメリカへ渡り、ニューヨーク・ナショナル音楽院の院長に就任し、その後4年間をアメリカで過ごします。「ユーモレスク」は、アメリカ滞在期間中の夏休みに、チェコへ一時帰国していたときに作曲されました。この曲の冒頭、細かい音が4つずつ続くのですが、これは、汽車の車輪がくるくると動く音を表現した、と言われています。鉄道マニアだった彼は、アメリカ滞在中も毎日汽車を利用していたそうで、祖国の汽車の音と違いについて「レールの長さが影響しているのでは」と分析していたという逸話も残っています。懐かしい故郷の汽車の音を聴いて、作曲する意欲が湧いてきたのかもしれませんね。

 

スワニー河とユーモレスク

アメリカ民謡の父といわれるスティーブン・フォスターが1851年に作曲した「故郷の人々」、別名「スワニー河」という曲があります。この曲が「ユーモレスク」の冒頭と非常によく似ているため、同時に演奏されることがあります。この事実をドヴォルザークが知っていたかどうかは定かではありませんが、ドヴォルザークもフォスターも、故郷を偲んで作曲した曲なので、この偶然はとても興味深いですね。

 

おすすめの演奏

 

 

それでは「ユーモレスク」を聴いてみましょう。まず、始めに聴いていただくのが、原曲の独奏ピアノです。次に演奏されるのが、ヴァイオリンとピアノのアレンジです。いずれもこの曲を世界に広めた、フリッツ・クライスラーの演奏です。

 

 

 

続いてユーモレスクとスワニー川が同時に演奏されたアレンジをご紹介します。

 

参考文献

「ドヴォルジャーク わが祖国チェコの大地よ」黒沼ユリ子著 リブリオ出版
「子供と聴きたいクラシック100」宮本英世著 音楽之友社
「名曲探偵アマデウス」野本由紀夫著 ナツメ社

 

◇前回記事◇[聴こうクラシック26]海の日に聴きたい、ドビュッシーの交響詩「海」
https://qufour.jp/article/detail/3781

◇あやふくろう(ヴァイオリン奏者)さんの過去記事一覧
https://qufour.jp/users/article/41058

 

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あやふくろう(ヴァイオリン奏者)さん

ヴァイオリン奏者・インストラクター。音大卒業後、グルメのため、音楽のため、世界遺産の秘境まで行脚。現在、自然とワイナリーに囲まれた山梨で主婦業を満喫中。富士山を愛でながら、ヨガすることがマイブーム。

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