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大定番からJ-POPまで!「卒業ソング」の移り変わりと歌詞意味を調べてみた

最近は卒業式で歌われる曲にバリエーションが増えているようです。今回は、卒業ソングの昨今にどんなものがあるのか、また内容などにどんな変化があるのかを調べてみました。とくに定番の歌は、その由来についてもご紹介します。

 

卒業式で歌われる曲の移り変わり

昔は、「仰げば尊し」や「蛍の光」などの曲がどこの学校でも歌われ、定番曲が固定されていました。歌詞は「先生への感謝」「友への別れの挨拶」といったテーマが主でした。しかし徐々に、1979年にリリースされた海援隊の「贈る言葉」のような「卒業生への応援歌」といった内容の曲も卒業式で歌われるようになります。こうして「贈る言葉」や「卒業写真」など、J-POP卒業ソングが歌われるようになると、一気にバリエーションも広がります。最近では、その時々に流行った「応援歌」的なJ-POPが歌われることが多くなりましたね。今回は、昔ながらの卒業ソングの由来や内容を取り上げつつ、J-POP卒業ソングの昨今についても触れてみたいと思います。

 

もはや古典?知らない子どもも?「仰げば尊し」

「仰げば~尊し わが師の恩~」で始まり、「先生への感謝や友との別れを惜しむ」という内容の曲です。長い間、作曲者不詳の謎の曲とされていますが、1871年にアメリカで出版された楽譜のなかに「仰げば尊し」の原曲と思われる曲が発見されています。歌詞が古い日本語なので分かりにくくて感情移入しにくいため、最近は歌われることが少なくなったようですが、海外でも人気があります。2008年に中国の人気歌手ジェイド・インさんのカバーはスローテンポで透明感のある歌声が、長野オリンピックやトヨタのCMでも知られるスーザン・オズボーンさんのものは声量が素晴らしく、壮大で感動しますよ。

 

「おわり!」と思わず反射してしまう「蛍の光」

「ほた~るの光 窓の雪~」で始まる曲で、1番2番は、共に学んだ友との別れを惜しみ、互いの未来に幸あれと願う歌です。3番4番の歌詞は、やや軍国主義的とも取れる内容のせいか、最近はあまり歌われません。「蛍の光」の原曲は、スコットランドに古くから伝わる民謡「オールド・ラング・サイン」で、元のメロディは17世紀頃からあったようです。「オールド・ラング・サイン」は、4番目の音である「ファ」と7番目の音「シ」を使わない「ヨナ抜き音階」で作られています。ヨナ抜き音階は、日本の古典音楽と共通しているので、日本人の耳に馴染んだのでしょうね。また、日本と英語圏では、この曲の歌詞やイメージに違いがあります。原曲の「オールド・ラング・サイン」は旧友との再会を祝う内容の歌詞で、スコットランドでは年始や、結婚式、誕生日にも歌われます。

 

ピアノの連打に感情が揺さぶられる「巣立ちの歌」

「いざ さらば~さらば先生 いざ さらば さらば友よ 輝かしい明日の日のため」というサビで、1965年に作られた曲です。「思い出深い教室や校庭、お世話になった先生やともに学んだ友に別れを告げて、未来を見据えよう」という潔い別れの曲です。「いざ さらば~」のサビの盛り上がりと、ここで連打するピアノに思わず感情を揺さぶられますね。今は、この曲を歌う学校は少ないかもしれませんが、卒業式に合う、いい曲だと思います。

 

先生からの応援歌!「旅立ちの日に」

「いま 別れの時 飛び立とう未来信じて 弾む若い力信じて この広い この広い 大空へ」というサビです。埼玉県にある影森中学校の教師によって1991年に作られた曲。当初は、教師から卒業生へサプライズで1度だけ歌うはずだったのですが、翌年からは生徒が歌うようになり、やがて全国に広まり、今や卒業ソングのスタンダード曲となっています。「後ろを見ずに、元気に飛び立ってほしい」という先生の思いが伝わってくるいい曲です。

 

長野パラリンピックテーマ曲「旅立ちの時」

「夢をつかむ ものたちよ 君だけの花を咲かせよう」というサビで、1998年長野パラリンピックのテーマ曲です。「旅立ちの時」というタイトル通り、「後ろを振り返らず、夢に向かって旅立とう!」というメッセージが感じられる歌詞で、合唱曲としても人気があります。作曲の久石譲さんは厳かで美しいジブリ映画の音楽を手がけることでも有名。卒業ソングとしてはマイナーかもしれませんが、メロディの美しさや盛り上がりは最高です。

 

懐かしいJ-POPの定番卒業ソング

懐かしいJ-POP卒業ソングである「贈る言葉」は、本来は失恋の歌で、叶わなかった恋の相手への「贈る言葉」なのですが、人気学園ドラマ「3年B組金八先生」の主題歌だったことから、卒業ソングとして人気が出ました。これ以降、J-POPを卒業式に歌うことが多くなっていきます。松任谷由実の「卒業写真」も懐かしい曲ですが、今も卒業ソングとして人気がありますね。80〜90年代には「卒業」や「旅立ち」といったダイレクトなタイトルをつけた曲が多かったようです。

 

最近の人気J-POP卒業ソング

2000年以降に人気のあるJ-POP卒業ソングは、ロミオメロンの「3月9日」、川嶋あいの「旅立ちの日に…」のように、日常のシーンを切り取ったような歌詞に、等身大の「僕」や「わたし」、「君」や「あなた」が登場する曲が多く、感情移入しやすく共感できる点が特徴的です。ほかも、いきものがかり「YELL」、コブクロ「桜」、EXILE「道」など、卒業ソングのバラエティは、その年の流行によって応援歌だったりラブソングだったりと広がっているようです。

 

まとめ

個人的には卒業式には硬派な曲のほうが似合うと思いますが、その年に流行ったJ-POPを卒業式に歌うのも思い出に残っていいですね。卒業すると、恩師や友達と会う機会が減り、だんだん疎遠になりがちですが、いつか再会して変わらず笑って話せるはずですね。

 

sawaya

だいたいマジメ、ときどき脱力。
芸大卒、好奇心旺盛でハンパなモノ作りが得意です。
しっかりものの長女、マイペースな長男、ヤンチャな次男の育児を楽しんでます。