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【栄養士まなさん節約レシピ6】お弁当はポイント押さえて、美味しく時短

お子さんのお弁当。毎朝イチから作らなければ……、と思うと負担にもなりますね。今回は、作り置きの前に知っておきたいお弁当作りのポイントをご紹介します。大切なのは「今日必要な栄養の1/3を食べてもらうこと」。そして、そのための「お母さんの負担をできるだけ減らすこと」です。

 

5歳児の1食分の栄養所要量を覚えておこう

最新の「文部科学省・学校給食の標準食品構成表(平成25年改訂)」を参考に、幼児が昼食で摂るべき食品の種類と分量について、主なものをご説明します。

・ごはん:子ども茶碗1杯(ロールパンなら1個)
・牛乳:コップ1杯
・魚・肉・豆・豆製品:組み合わせてメインのおかず1~2品(30~50g)
・卵:Mサイズ1/8個、卵焼き1切れまたはウズラ卵1個(お弁当に使いやすい分量)
・イモ類:1切れ(20g)
・緑黄野菜・その他野菜:組み合わせて野菜のおかず2品(50~80g)
・くだもの:りんご1/6個くらい

ただし、これはあくまでも目安です。食が細いお子さんのママは、あまり気に病みすぎないでくださいね。

 

出典:文部科学省 「学校給食実施基準の一部改正について 学校給食摂取基準の策定について(報告)」より抜粋
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1332086.htm

 

未来の自分のために、少しずつ先送りして使い回し

唐揚げ、ハンバーグ、ギョウザ、魚フライなどは、夕食調理時にまとめて仕込んで、取り分けて冷凍しておきましょう。

 

写真のハンバーグを例にします。ひき肉500gでハンバーグを作ると、タネが約800gになりました。ここから夕食分として、ご主人:100g・2個 奥様:100g・1個 お子さん:50g・1~2個を取り分けます(写真左)。残り約300gのタネでミニハンバーグが10個前後作れますので、これを冷凍保存しておきます(写真右)。夕食の支度と一緒に、焼くところまで済ませておくとさらにあとが楽になりますね。

 

冷凍の際は、金属プレートの上へ並べたり、急速冷凍機能を使うなどの工夫が必要です。自宅で作った冷凍食品の場合、市販品とは違って保存時の温度管理が完全ではありません、ですから、どの種類であっても2週間を目処に使い切るようにしてください。

 

使い回しの例:唐揚げ

唐揚げは夕食を調理の際に一緒に揚げ、冷ましてから冷凍しておきます。保存期間は2週間程度です。お弁当に入れるときは、甘酢をからめたり、ジャガイモと甘辛煮にすると冷凍保存のパサパサ感が気にならなくなります。

 

使い回しの例:ハンバーグ

ハンバーグは焼いた状態で、粗熱を取りジップ式保存袋に入れて冷凍しておきます。保存期間は2週間です。お弁当では、ケチャップやソースなどでさっと煮て、解凍と味付けを兼ねるとよいと思います。

 

使い回しの例:ギョウザ

基本的には、具を包んで焼く前の状態で、片栗粉を薄く振って冷凍します。こちらも保存期間は2週間です。お弁当に入れる際は、凍ったまま焼くか、揚げましょう。焼いた状態で冷凍した場合は、電子レンジか自然解凍で利用します。余ってしまった場合は、刻んで炒飯の具にすることもできます。

 

おかずは色で決める=赤・緑・黄・茶・白

「赤・緑・黄・茶・白」の五色の彩りがそろうと、自動的に栄養のバランスも整います。彩りのよい小さなおかずのストックがあると、献立に迷ったときにサッと入れられて便利ですね。冷凍保存にこだわらず、サッと煮るだけ、茹でるだけ、炒めるだけでもいいのですよ。

赤いおかずの例:ニンジンしりしり、糸コンニャクたらこ炒り、パプリカのキンピラ
緑のおかずの例:スナップエンドウとウインナー炒め、ホウレン草のゴマ和え
黄色いおかずの例:ウズラ卵のカレーピクルス、コーンのかき揚げ
茶色いおかずの例:牛肉の甘辛煮、鮭の照り焼き
白いおかずの例:もやしのドレッシング和え、ダイコンの甘酢漬け

 

安くて美味しくて便利なチクワを活用:チクワの二色詰め

チクワの穴に魚肉ソーセージとスティックチーズを詰めただけの、レシピとも言えない簡単なものですが、2人の子どもたちのリクエストに応えてお弁当にさんざん登場し、今では孫のお弁当にも入っているおかずです。簡単なのにかわいくて、そのうえ美味しい。お弁当箱のスペースもほどよく埋めてくれる、とってもお助け能力の高いおかずです。チクワは、このほかにもおかずの材料として使い勝手がいいので、揚げたり、炒めたり、煮たりとさまざまに形を変えて頻繁に登場します。

 

簡単かわいいおかずたち

あまり器用なほうではないので、近頃流行りの凝ったお弁当を作るのは実は苦手です。写真のお弁当は孫のリクエストで作ったもので、左上から時計回りに「ニコニコおいなり」「ハンバーグ」「チクワの二色詰め」「プチトマト」「塩茹でブロッコリー」「(隠れていますが)即席ピクルス」「花ハム」「パプリカリングのミニ目玉焼き」「さつまいものレモン煮」です。

 

ひとつひとつにはあまり手間はかかっておらず、ハムをくるくると巻いたり、パプリカの自然な形を活かしたり、チクワの穴にいろいろなものを詰めたりするくらいです。それでも、フタを開けた瞬間に「あらかわいい」と思えるようにと考えながら作っています。

 

ちなみに、おいなりとハンバーグの間に見える黄緑色は、レタスではなく、「レタス柄」のおかずケースです。抗菌処理がほどこしてあるうえ、何度も洗って使えるすぐれものです。

 

冷蔵保存:すし酢+残り野菜で簡単ピクルスを常備

ちょっとずつ残った野菜をガラス瓶に入れて、ダシ汁で二倍に薄めたすし酢に漬けておくと、簡単にピクルスが作れます。お子様用でしたら、あまり長く漬ける必要はありません。例えば写真のカラーピーマンなら、使って余った分を冷凍庫で保存しておき、当日朝に使う分だけをサッと湯通ししたあと5分間酢に漬けておくだけでOKです。酢がきつくない分日持ちはしないので、余った分はご家族でその日のうちに食べてください。

 

生野菜ですきまを埋めない

作ってすぐ食べる家庭の食事と、お弁当との大きな違いは、作ってから食べるまでにタイムラグがある点です。彩りと生野菜補給のつもりでレタスなどをつい入れがちですが、お子さんがお弁当箱のフタを開ける4~5時間後には、水分が抜けてシナシナになってしまっています。シナシナのレタスは、大人でもあまり食べたいものではありませんよね。お弁当に入れる野菜は、軽く塩で揉む、煮る、茹でる、炒める、甘酢に漬けるなど、面倒でもここは一手間かけてあげてください。逆に言うと、野菜のおかずの作り置きがあれば、お弁当作りの手間はかなり軽減されるのですよ。

 

食べるまでに傷まない一工夫

プチトマトやいちごのヘタ。赤と緑できれいですね。でも、お弁当に入れるときには必ずヘタを取ってください!きれいに洗ったつもりでもどうしても細菌が残ってしまい、そこから腐敗が始まるのです。

また茹で卵は、実はとても傷みやすいもの。室温では2~3時間も保ちません。お弁当箱の冷蔵保管が可能な場合を除いて、夏場のゆで卵おかずは絶対に避けてください。冬場に入れる場合も、再度調味・加熱した煮卵にすることをお勧めします。

 

調理道具の扱いに気をつけて!抗菌グッズも活用しましょう

どんなに小さくても手に傷があると、食中毒の原因になりかねないこと、みなさん知っていますか?とある会合で「おにぎり」を3人の人が作った際に、そのうちのひとりが手にケガがあり絆創膏を貼っていました。結果、招待客の1/3が食中毒を発症して大騒ぎになりました。少し膿んだ手の傷に黄色ブドウ球菌がいて、それが食中毒の原因になってしまったのです。

 

そのことをふまえ、栄養士という職業柄、食材と調理器具の衛生管理という面にはとても神経質な私です。また私は手が荒れやすいので、基本的にお弁当を作る時には使い捨て手袋を使用しています。孫にねだられてごくたまにキャラ弁を作ることもありますが、アルコールスプレーやピンセット、ラップなどを使用し、素手で食品を触ることはできるだけ避けています。

 

出来上がったお弁当の上に乗せる、ワサビやカラシの抗菌シートなどもありますね。愛情込めて作ったはずのお弁当のせいで、お子さんが辛い思いをすることがないよう、調理器具と食材の衛生管理にはくれぐれも気を付けてください。

 

 

まなさん(管理栄養士)

初めて包丁を握ったのは小学4年生。料理好きが高じて管理栄養士に。
主婦歴30年、得意分野は「オカンのメシ」。
大食いダンナと偏食息子のために日々料理を作る。
おしゃれな盛り付けとは生まれてこのかた無縁なのが少し悲しい。