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【栄養士まなさん節約レシピ10】冷蔵庫を味方につけて、節約上手(後編)

3回にわたって、ご自宅の冷蔵庫を節約&時短の強い味方にするための、大事な作業「棚卸し」についてお話ししている3回めです。前々回は棚卸しの理由とメリットについて、前回はドアポケットと野菜室の棚卸しのしかたをお伝えしました。今回は、「ひと目で分かる冷凍室と冷蔵室」にするための、具体的な棚卸しのしかたです。

 

用意する物

  1. 冷凍庫から出した食品を保冷する道具(保冷バッグ、クーラーボックス、発泡スチロールの箱、保冷剤など)
  2. 冷蔵庫から出した食品を並べる際に敷く物(新聞紙やビニールシート)
  3. 冷蔵庫の中身を記録する道具(スマホまたはデジカメ、筆記用具)
  4. 冷蔵庫の中身に貼るラベル(マスキングテープ、テプラ)
  5. 冷蔵庫を区分けしたり仕切る道具(仕分けカゴ、トレイ、ブックエンドなど)  

棚卸しの前後を記録するために、写真を撮って、それを元に在庫リストを作成しますので、スマホや携帯のカメラと筆記用具が必要です。前回と同様に、マスキングテープ、100円ショップなどのカゴ、ブックエンドなどを用意しましょう。今回は冷凍庫の食品を全出しするので、食品の鮮度低下を防ぐために、保冷のための道具をご用意ください。全出しした食品は、テーブルの上に新聞紙などを敷いた上に並べると、あとの掃除が楽になります。

 

冷凍庫:棚卸し手順

まず始めに、現状把握のために冷凍庫内の写真を撮ります。一時的に冷蔵室か保冷バッグにすべての食材を退避させ、中身を空にして、外せる部品は外して洗います。取り外せない場合は、掃除機の先端にラップの芯などをはめて掃除機で吸い取ったあと、アルコール配合タイプのウェットティッシュなどで拭き掃除します。

冷凍庫にあったもののうち、明らかに古いもの、いつのものかわからないものは処分してください。冷凍庫の棚卸し頻度は、最初なら1カ月に1回が目安になります。

 

冷凍室:重ねず、立てて並べる!

その後、前回の野菜室と同じように、中身を色別に並べていきます。ブックエンドなどを使って立てて並べ、重ねないようにしてください。過去の実体験ですが、重ねてしまうと、高確率で下の方にあるものを使い忘れます。開封済市販品、自家製冷凍食品などは、それぞれ缶やケースなどにひとまとめにしておくといいですね。冷凍食品は、保存中に霜がついて、何なのか分からなくなりがちなので、クリップやマステなどを使って目印を付けておきしょう。

 

冷凍庫は決して万能ではありません

冷蔵庫の収納量は70%以下でしたが、冷凍庫は70%以上と多めのほうが、冷気が効率的に回ります。とは言え、詰め込みすぎには注意が必要です。使い残してムダにしてしまっては元も子もありません。

冷凍庫は決して万能ではなく、保存日数の経過とともにどうしても味が落ちてしまいますから、計画的なやり繰りを考えましょう。冷凍した食品を美味しく食べるための保存期間は、自作で2週間、市販品で1カ月です。棚卸しを活用して、定期的に食べ切ってしまう習慣を付けましょう。

 

買い込みを防いで、急速冷凍にも役立つ裏ワザ

買い込みすぎを防ぐために、我が家の冷凍庫の中に高確率で入っているものがあります。それは、冷凍庫容量の20%の大きさのお菓子の空き缶です。ここで空っぽの20%を確保しておけば、ほかの部分が満杯になっても、80%の収納量をキープできます。さらにこの缶で、自家製冷凍食品を急速冷凍させて活用しています。周囲が冷たい金属で覆われているので、早く冷凍できますし、周囲の食品を溶かしてしまうこともありません。冷凍できたら、缶の外で保管してください。

 

冷蔵室:棚卸しの手順

次に冷蔵室です。開始前に写真を撮ります。肉や魚などについては、鮮度の低下が心配なので、棚卸し中は保冷バッグなどの中に一時保管するといいですね。それ以外のものはテーブルへ並べます。賞味期限切れのものがあったら処分しましょう。中身を全出ししたら、外せる部品は外し、外せない場合はアルコール配合タイプのウェットティッシュなどで拭き掃除します。掃除が終わったら、食品を使用目的ごとに分類して、庫内に戻します。冷蔵室の棚卸しは、時間のある週末、または在庫が最も少なくなる買物前日がオススメです。1週間~10日ごとに行うことになります。

 

冷蔵庫:収納量は70%以内に

冷蔵室の収納は、庫内の冷気を効率的に循環させるため、最大でも全体の70%程度としてください。最下段の左右どちらか半分は、「今日使うもの」「早めに食べるもの」のエリアとして広めに開けておきます。スペースがあれば、サラダを食事直前まで冷やしておくことも、残ったカレーを鍋ごと入れておくこともできます。

朝食用、お弁当用など用途の決まっているものはひとまとめにし、カゴやトレイを使って分類しておくと、あとの出し入れがしやすくなります。使い残しの野菜は専用のケースで保存して、早め早めの消費を心がけましょう。整理が終わったら、記録のために写真を撮って終了です。

 

収納エリアを「自分用」にカスタマイズする

冷蔵庫の高さと主婦の身長との兼ね合いは案外重要です。私の身長は153cmなので、高さ170cmの我が家の冷蔵庫の最上段は、見にくく届きにくいエリア。そのため、最上段は牛乳とジュースの寝かせて収納しておく「在庫置き場」にしています。お子さん用の食品もまとめておきたいアイテムかと思いますが、お菓子は手の届かない場所が良さそうですね。「見やすい」「取り出しやすい」「掃除しやすい」を基本方針にして考えると良いと思います。

 

リマインダーにSNSで、冷蔵庫の棚卸し作業をルーチン化

ここまで3回に分けて話してきた「冷蔵庫の棚卸し」は、一度実施するだけなら誰でもできます。大切なのは、これを定期的な家事作業として生活に組み込むことです。私の例で言うと、相棒はスマホです。リマインダーを使って、「今日は冷蔵庫の棚卸しの日」とお知らせが来るように設定しています。もうひとつは、SNSでの仲間づくりです。SNSで宣言してから棚卸しを始めると、なぜか伝染して仲間もやり始めます。「家事を孤独な苦行にしない」ことは、重要なポイントだと思っています。

 

撮った写真をさかのぼって見比べて、自分の短所を知る

棚卸しに写真撮影が必要な理由はいくつかあります。始める前に撮る目的は、現状把握です。終わったあとに撮る目的は、いちいちメモを取るより早いからで、写真を見れば一目で在庫が分かります。また、冷蔵庫の整理システムは、一度では完成しないことがほとんどで、どうしてもリバウンドしがちです。リバウンドの都度、何が原因だったのかを知り、少しずつ改善していくためにも、前回の記録が必要になってきます。

 

まとめ

「うちの冷蔵庫は小さいから、整理が難しいんです」というご意見も、分からなくありません。でも、小さな冷蔵庫こそエリア分けが必要なのです。そうすることで、主婦以外でも「どこに何が入っている」と分かるようになりますし、「そのエリア以上には買い込まない」という目安ができますので、ムダ買いも防げます。各家庭で食品購入量の適量は異なりますので、エリア配分も当然違ってきます。ぴったりくるエリア分けは一度では難しいので、そのためにも定期的な棚卸しが必要になってくるのですね。

 

 

まなさん(管理栄養士)

初めて包丁を握ったのは小学4年生。料理好きが高じて管理栄養士に。
主婦歴30年、得意分野は「オカンのメシ」。
大食いダンナと偏食息子のために日々料理を作る。
おしゃれな盛り付けとは生まれてこのかた無縁なのが少し悲しい。