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【ダウン症児と私1】帝王切開を乗り越えて誕生!一転して不安感の底へ

「障害者差別解消法」が施行され、障害者のみなさんと触れ合う機会が増えていきますが、私たちはどのくらい障害のことを理解しているのでしょうか。今回は、ダウン症の「ユキトくん」を育てているママ「ナナさん」に、障害のあるお子さんとの暮らしについて伺いました。このお話しをとおして、みなさんの障害への理解が深まりますように。

 

障害を持つ人の社会参加を促進する新法が施行

この春、障害による差別や障壁を解消するための法律「障害者差別解消法」が施行されました。障害をもつ人がいままでよりも社会参加しやすくなり、わたしたちも障害者のみなさんと触れ合う機会が増えていくことになります。そのためにはまず、私たちが障害や障害者の方への理解を深めておく必要がありますね。そこで、今回実際にダウン症のお子さんを育てているナナさんのインタビューを、連載でお伝することにしました。第1回は、出産から障害について知るまでのお話しです。

 

Q.ナナさんの自己紹介をお願いします。

初めまして。3才のダウン症の息子「ユキト」と、1才半の弟「マサト」のママの「ナナ」と申します。ダウン症の子どもを育てている様子や、母親の気持ちなどを率直にお話ししたいと思います。よろしくお願いします。

 

Q.ユキトくんの出産はどんな感じでしたか?

2012年12月20日に、帝王切開でユキトを授かりました。半年以上の重度のつわりを乗り越え、ユキトが逆子だったので帝王切開もして、「やっとゴールできた」という感じでした。

ユキトは出産後すぐには泣きませんでしたが、4〜5分後には泣いたので、抱っこもさせてもらい、「すぐに泣かなかったけど、無事に生まれてきた。まあ大丈夫だろう」と思いました。

ただその後、ユキトが隣にいないので、不思議に思うようになりました。ほかのママは、出産後1〜2日でかわいい赤ちゃんと一緒にベッドで過ごしています。私自身は麻酔も切れ、自力でトイレに行けるようになり、身体もどんどん回復しているのに、病室にユキトがいません。新生児室の赤ちゃんのネームプレートを端から端まで何度も探しましたが、我が子がどこにもいないのです。

看護師さんに聞くと「ユキトくんは、呼吸の数が多いのでこちらでお預かりしてますが、一過性のものなので治ります。もうすぐ先生が来ますよ」と言われました。

 

Q.先生からどんなお話しがあったのですか?

先生からは、2つのことを説明されました。

・帝王切開で急に出したので、赤ちゃんが環境に適応できなくて呼吸が多い状態だが、必ず治る
・体が小さく(2,475g)筋肉が弱いので様子をみる

ということでした。

 

Q.そのときご主人はどんな様子でしたか?

私が麻酔から目覚める前に旦那も同じ説明を受けたらしいのですが、我が子を見た旦那は「赤ちゃん可愛かったよ。写真撮るからカメラを買おう」と満面の笑みでした。旦那があまりに笑顔だったので、私はユキトが隣にいない不安を押し殺しました。でも、旦那が帰ったあと、一枚の紙が出てきました。そこには、「新生児一過性多呼吸、筋緊張低下」と書いてありました。その紙を見て、私は岩場から突き落とされたような感覚になりました。

次回は、障害の内容を理解し、子育てを始めるまでのお話しをお届けします。 

ダウン症の基礎知識1:ダウン症って?

ダウン症は、受精卵ができるときに何らかの異常が生じ、21番染色体が1本過剰になって起こることが知られています。でも、染色体の異常がなぜ起こるのかはまだ分かっていません。だいだい、赤ちゃんの1,000人に1人の割合で起こっていて、高齢出産で発症率が高くなることから、出産年齢に何らかの関係性が考えられていますが、原因究明には至っていません。

またダウン症の子どもたちは、合併症や感染症にかかりやすいという特徴があるため、継続的な医学的サポートが必要ですが、医学の進歩した現在は、合併症や感染症をある程度コントロールができるようになってきています。今後は、どのように育てて、社会参加を促していくのかという、生活面でのサポートが重要になってきています。

 

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ナナ

5歳のダウン症の息子「ユキト」と、3歳半の弟「マサト」のママの「ナナ」と申します。ダウン症の子どもを育てている様子や、母親の気持ちなどを率直にお話ししたいと思います。